JFシェルナース
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貝殻で作られた魚礁「JFシェルナース」により、貝殻が微生物や小型動物の棲みかとなり魚を育て、海を育みます。海のものを海に戻す、これぞ大自然の法則。

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図1 干潟の断面図


図2 東京湾の三番瀬の海底地形の復元
(1948年当時)
<干潟の水面下の姿>
 氷山の一角、という表現があります。海面上に見えている氷山の姿はごく一部で、海面下に大きな本体が隠れているのです。干潟も同じなのですが、意外にそれは充分理解されていません。「干潟の再生」には、いろいろな方法や技術が開発されています。せっかく土砂を入れて干潟を造ったのに、沈下や侵食で地形が保てなかった、という失敗談を時々聞きます。"干潟の根っこ"を充分考えて、干潟の配置を考えなくてはならないのです。しかし、氷山と同じで、海面下まで想像できる人はそう多くありません。図1は、干潟の基盤まで含めた断面図です。干潮時に、陸上生物の私たちが歩き回れる干潟面は、陸から海に向かって発達したテラスといわれる地形のてっぺんに過ぎないのです。足元に基盤となる海底地形が隠れています。図2は、東京湾の三番瀬周辺の元の海岸から海底までの地形です。江戸川が東京湾に運んだ土砂でできた、まさにテラスです。
 写真1は東京湾の盤洲干潟(千葉県)です。上空からみると、丸みをおびた海岸線や、白波の曲線の縞が見えます。この風景も、図2と対応させて見直してみると、テラスの上の平面で、干拓や埋立で田畑が陸から少しずつ伸びてきたり、満ちてきた波が砕けたり、という状況であるのがわかるかと思います。干潟が広がっている景色の「水面下」までが想像できると、干潟のかけがえなさが、一層きわだつと思います。地形は、何千年もかけて作られた自然の力の作品です。半島や海底、干潟の基盤など大きな地形があり、その上に、土砂が溜まり、生物が棲み、さらに細かい環境を形づくってきたのです。
<干潟の再生には、足元の地形が大事>
 干潟の維持には、基盤の地形が大事です。埋立や掘削で大きく地形が変わってしまうと、その上にのっかっている藻場や干潟面に対しては、波や流れの条件が変わります。そのため、よほどの努力をしないと、元の状態を維持するのが難しくなります。

写真1 東京湾の盤洲干潟(千葉県)
干潟を造成する場合には、前面が深く波当りも強い埋立地の前面に造るよりは、過去の干潟の地形を戻したほうが安定的と考えられます。干潟が乗っている基盤が残っているからです。
 しかし陸を海に戻すのは、大変な勇気が要りますし、法律や財政の問題も、陸になる一方の時代にできているので、現実的には困難といわれています。しかし、「汐入の池」「護岸を陸側に引いて造る」などの小さな事例が、瀬戸内海沿岸には芽生えています。

清野 聡子(東京大学大学院 総合文化研究科)

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