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新潟県山北町の大川では、川に石を積み、岸に杭を打って生木を結びつけた「こど」と称する施設が現在でも利用されている。母川回帰して大川を遡上するサケは「こど」によって形成される光学的陰影と流れの緩流部において一時的に休息する。それを木の陰から「かぎ」で引っかけて捕獲する、サケの河川遡上時の行動生態を上手く利用した漁法である。
鳥取市の湖山池には、フナなどの漁獲を目的とした現に有効な状態の「石釜」が残っている。幅約8m、長さ約10m、高さ2〜3m程度で、およそ50cm水面上に出ている。湖底から石垣のように積み上げ、沖側から奥端の魚捕部まで届く魚道が作られ、石釜の上面には魚を魚捕部に竿で追いのやるための突穴が設けられている。また魚群誘導のための転石が沖側に向かって沈設され、あたかも石垣で造成した定置網のような構造で、明治時代には定置漁業免許を受けている。幕末期には湖山池全体で90基程度があって、その時代としては収入割合の大きい有効な漁法であった。現在各地で利用されている多くの副漁具や漁具の中には、「しいら漬け」、「うなぎ筒」、「タコ壺」、「いか篭」など、魚を集めたり、漁獲するものが多く見られる。
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写真2 こど漁(新潟県山北町)
写真3 石釜(鳥取市湖山池)
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